日本コンベンション研究会

 

第7回MICEフューチャーセッション 緊急Zoom会議

第7回MICEフューチャーセッション

開催日:5月21日(木)20:00〜
テーマ:欧州における現状と、今後の観光やMICEは?
講師:オランダ日通旅行部MICE推進部長/写真家 佐藤純治氏

7回目となったMICEフューチャーセッション緊急Zoom会議の参加者は、これまでの最大の60名となりました。多数のご参加ありがとうございます。

今回は、オランダ日通旅行部MICE推進部長で写真家としても活動されるアムステルダム在住の佐藤純治氏をお迎えし、オランダ、ヨーロッパの視点で、コロナの現状と、今後のMICE、観光の見通しに関してお話いただききました。今回は時差もあり、事前に収録したものを、当日放映いたしました。

オランダのコロナ状況
オランダは、ドイツの対策を参考に、医療崩壊を防ぐことを優先し、国民全体で6〜7割が免疫つける考え方を採用しています。新規感染者は、日々300人がみつかり、16日時点の感染者数は43,000人、死亡者数は5,600人に及び、歯止めがかかっていないのが現状です。政府としては、外での活動を@ランニング、A犬の散歩、B買い物の3つのみに制限し、国外渡航を禁止しています。政府からの市民へのコロナ規制に関わる説明は、市役所から各個人宛にメールで行動指針が送られ、それには、いつどのレベルまでにいけば解除されるということは、ステップバイステップで説明されているとのことでした。また、オランダは欧州他国同様にホームドクター制の医療体制で、体調不良の場合は、ホームドクターにWEB問診をしてもらい、救急派遣の必要があれば、ドクターから派遣要請を行うようになっており、救急搬送においても、市役所からの事前通知で搬送される病院についても明記されています。このような細かな情報提供により、市民の不安を取り除いているとのことでした。
今後の動きとしては、オランダ政府は6月から制限解除を進めますが、これは緩和ではなはなく、引き締めも合わせて行っていく内容とのことでした。例えば、レストラン、映画館を再開しますが、30人以上の密集が見つかると罰金、家族以外の人との車の乗り合いも罰金、マスク装着も義務化され、こちら違反者に150ユーロ(約17,670円)の罰金を課する厳しいものとなっています。経済優先とみる見方はありますが、実情は政府が規制も強めていることが伺えました。
また、オランダ人にとってのコロナの感染源は中国ではなく南イタリアとなっているとのことで、地域によってコロナに対する見方が大きく違うようです。

オランダ政府の経済支援
政府はいち早く休業と補償をパッケージで行い、日用品以外のお店の営業停止を実施、一般企業に対しても、昨年対比50%を下回った収益には補償することを打ち出すなど、早期に対策を明確に打ち出されております。この対応には国民から大きな不満はでていませんしたが、長引くにつれて外国人労働者不在による農業収穫に影響がでてくるなど最近は2次的な課題がでてきて議論がなされているとのことでした。MICEに関連すると、コンベンションセンター、展示会場などの施設は、休館にあわせて100%政府が補償することを初期段階から表明されています。

MICEの状況と今後の見通し
佐藤氏自身も今年はほとんど仕事ができていない状況とのことでした。また、ミーティングプロフェッショナルで構成されるMPIのオランダチャプターのリリースをみても、2020年中にMICEの再開の見通しはなく、2021年についても非常に慎重になっているのとのことでした。また、多くがミーティングやカンファレンスの仕事自体が変わると認識しているようです。
このような背景には、このコロナ禍で、国民の85%は、「ワクチンがないと出張しない」、「公共交通機関でバカンスはしない」と思っている調査結果があり、社会全体に恐怖が刷り込まれ、それぞれの行動形態が変わることが考えられるとのことでした。
今までオランダのMICE業者は、オランダやドイツも範囲に営業活動を行っていたが、今後はMICEの規模が減ると同時に、オンラインを取り入れるなど形が変わっていくことが必然と捉えているようです。
展示会に関しては、展示会主催者へのヒアリングから、オランダだけでなく、ドイツ、ベルギーでも2020年は開催できないと見通しとのことでした。

ポストコロナとウィズコロナ
オランダ政府からは輸送に関するガイドラインが文書で出され各事業者に送られているようで、その中では1.5mの距離を置く配席等が明確に規定されているとのことでした。それにより、バス会社などは車体の改装に動きはじめています。この規定によると、メルセデスのEクラスが運転手含め2名定員、ミニバン6人乗りが運転手含め3名、大型バスで運転手込み13-14名と、大幅に乗員数の低減となる内容となっています。
航空業界においても、先週からKLMが欧州8都市に、100名乗りのKLMの最小機で1列2名の配席で1日1便の運行再開。日本便に関しては、成田、関空の2路線は乗客数を少量で対応している。オランダ政府としては、成田発の乗客に限って2週間の隔離としており、発着都市で対応が異なっています。また、世界中で大型機に売却が進み、航空乗客輸送のスリム化が圧倒的に進み、移動全般の大量送客手段の方策が課題となることが浮き彫りとなりました。
今後のMICEの運営は、オンラインを組み合わせたハイブリッド化されたものになり、全てがコンパクト化されていくだろうと指摘されました。その中で、オランダのMICE業者は、個人、少人数に分けたホスピタリティを高めたサービスづくりに現在知恵を注いでいるそうです。
佐藤氏は「大変なときは大きく変われるチャンスであり、今までにない発想で取り組むことで、MICEにもイノベーションが産まれる動きを感じている」とのことでした。

今回の佐藤氏のお話から、過去3回の韓国、シンガポール、香港、と大きく違った、コロナの影響と対策における地域差でした。恐怖といった言葉がでてくるなど、社会や市民生活への影響は切実で、MICEを含めた社会変革が現在進行系で進んでいることを実感できるものでした。

日本のMICEのガイドラインは観光庁で作成
セッションとは別に、観光庁 水口氏からは、先週に引き続き政府のガイドラインについて、MICEに関連する運用ガイドラインのたたき台を観光庁でつくり、関係機関と連携し意見集約を行う旨の説明がありました。

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