日本コンベンション研究会

 

第5回MICEフューチャーセッション 緊急Zoom会議

第5回MICEフューチャーセッション

開催日:5月7日(木)20:00〜

第1部
テーマ:コロナ感染からいち早く脱出しつつある韓国。今後の展望など
講師:
前JNTOソウル事務所 MICE DIRECTOR 任 榮鴻(イム ヨンホン)氏
前大阪観光局MICE専門官(元千葉コンベンションビューロー)東條秀彦氏
モデレーター:札幌国際プラザ 根子俊彦
第2部
数名のチームに分けて、グループディスカッションを予定。

5回目となるMICEフューチャーセッション 緊急Zoom会議には、ゴールデンウィーク明けにも関わらず、55名と多くの方にご参加いただきました。
今回は、コロナ対策で成功例として注目を集める韓国のMICE事業にフォーカスして、日本と韓国のMICE事業に事情に精通された前JNTOソウル事務所MICE DIRECTOR任 榮鴻(イム ヨンホン)氏、前大阪観光局MICE専門官(元千葉コンベンションビューロー)東條秀彦氏にご参加頂き、札幌国際プラザの根子俊彦がモデレーターを務め、対話形式でのセッションを行いました。

韓国のコロナ感染状況や対策
イムさんからは、韓国全般の対策が紹介されました。
1月に感染が見つかり、2月に宗教法人イベントによる集団感染が発生し、一時は世界のワースト事例となったが、政府の疾病管理本部の有効な施策、@ドライブスルー検査に代表されるアクセシブルな検査体制、A徹底した感染者の追跡と隔離施策、B積極的かつ透明な情報開示(政府が1日1回以上のプレス発表など)で抑え込みがうまくいっていると指摘。この成功を防疫対策に行き届いた国としての「K防疫」を一つのブランドとして、今後の韓国の経済に貢献に寄与するものと考えているとのことでした。
また、世界最速でコロナ明けに向かいつつあることについては、韓国はMERSでの経験が大きく、そして、政府に専門機関があり、専門家の意見を取り入れるシステムがあったことが大きいとの見方を示しました。

コロナ後の韓国におけるMICEの状況
イム、東條両氏は、韓国MICEの現状については、COEX、Convention & Exhibitionをはじめとする展示会(現状は国内のみ)は4月末から再開。KINTEX(Korea International Exhibition Center)は6月以降から随時開催して行く予定。また、コンベンションセンター、美術館など公共機関は、5月6日から再開に至っていると語り、MICE産業への支援は、KTO (韓国観光公社 韓国観光公社/Korea Tourism Organization) が中心となり、地方コンベンションビューローともにMICE産業に特化した支援制度を3-4月に策定し発表されていると語りました。 今後のMICEについては、オンラインとのハイブリッドと併せて、韓国ではホログラムなど新しいデジタル技術の活用が議論されているようです。

日本と韓国のMICEの現状と未来
両国のMICE業界のフロントで経験されてきた両氏からは、日本と韓国のMICE業界の変遷、そして、現状についてのお話も多く語られました。
両国のMICE施策、産業の推進状況を比較すると、日本は90年初頭にMICEを法制化、推進する動きがはじまり、各地にコンベンションビューローが誕生しました。一方で韓国は90年後半に動きが始まり、2003年に法制化され現状で15程度のコンベンションビューローが全国で活動しています。韓国は、当初は日本の制度等を取り入れながらMICE推進を行ってきましたが、現在を見てみると、韓国のMICEにおける予算規模が、日本比で10倍以上となるなど、大きく進んでいます。この大きな差として議論に出てきたのが次の3つの点でした。

@ 予算
韓国では、KTOをはじめてとして、ビューローも公社であり、日本の多くの公益財団と違い、収益事業ができるなど経済価値を産みやすい体制である。また、予算MICE開催支援に使っていることで、開催情報を取得でき、それにより、有効な開催実績を得てMICE評価もしやすい。調査については、開催件数の指標として日本がICCA(the International Congress and Convention Association)を採用し、一方で韓国はUIA(UNION OF INTERNATIONAL ASSOCIATIONS)を前面に採用している。ICCAの2018のランクでは、日本が8位、韓国が15位、UIAでは、韓国が2位、日本が5位となっています。

A 教育・人材
韓国では100以上に大学でMICEを学ぶことができ、地方都市にも広がっています。MICE観光学会などでの研究も盛んで、政策にも反映されおり、国の予算で、地域のビューローの職員が週末に大学生に教えるなど、教育にも力を入れています。日本は、首都圏の大学の一部のみにMICE専門家がいる程度で、その層の厚みが大きく違う。

B ビューローの状況
韓国では、ビューローのスタッフは殆どがプロパー採用となっています。上記の教育、人材を引き受ける産業として成り立っており、ビューローの新卒5年の給与が日本円で600万円程度、大卒の就職難の韓国においては、魅力的な業種となっています。両氏からは、韓国のビューロースタッフのレベルの高さを評価するコメントが相次ぎました。また、KTOや地方ビューローの戦略立案にもこのような地方の専門家が関わり、地方独自の施策をつくることができている一方で、日本でのビューローは、地方行政から出資と出向を受ける機関が多く、職員教育、独自施策立案に課題が多いとのこと。また、地域によって差異はあるが、MICEに関する予算は非常に厳しいとの声もありました。

MICEにおいては、世界の先進事例になりうる韓国の状況を注視していく必要がありそうです。また、コロナに関わらず、日本のMICE状況を改めて考える機会となりました。

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