日本コンベンション研究会

2011/12/12 更新

全国から100名が参加
「国際観光コンベンションフォーラム2011 in 富士」

次回の開催は東北地域を予定

[1日目]海外の状況を紹介しながら日本のMICEを展望

東日本大震災の影響で延期となっていた「国際観光コンベンションフォーラム2011 in 富士」(当研究会主催)が、去る11月28、29日の両日、富士市文化会館ロゼシアターで開催され、全国の観光コンベンション関連団体、企業、行政機関などから100名が参加し、日本MICEの振興に向けて熱い議論がかわされました。

初日は、前田冨佐男((株)前田金三郎商店代表取締役)氏の特別講演「やっぱり、すばらしき日本茶」。日本茶の作り方や、魅力について語った後、これからは「観光から感幸へ」の時代を提案。続いて、原忠之(セントラルフロリダ大学ローゼン・ホスピタリティ経営学部准教授・副学部長)氏による基調講演「観光・MICEビジネスの課題と展望」では、海外研究論文の紹介を交えながら、MICE産業の可能性について興味深い話が展開されました。

第1日目、最後のプログラムは、「JAPAN MICE再生に向けて」と題したパネルディスカッション。渡辺厚((株)情報伝達研究所代表取締役)氏をコーディネーターに、任栄鴻(JNTOソウル事務所MICE誘致部長)氏、菊地茂(APリンク代表)氏、東條秀彦(MPI JAPAN Chapter会長)氏といった海外事情に精通している3人をパネリストに迎えて、アジアと日本の現状を比較しながら、日本のMICEについて展望しました。

また、来賓の観光庁の高見牧人MICE推進担当参事官は、これら講演とパネルディスカッション後に挨拶に立ち、「選択と集中が必要。観光立国基本計画の見直しを行っているが、MICEを産業の視点で考え、他の省庁との連携を図りながらやっていきたい。MICEは経済のインフラです。」と力強く語り、会場を埋めたMICE関係者から大きな拍手が起こりました。

[2日目]2つの分科会では活発な意見交換を展開

2日目は、ラウンドテーブルミーティングスタイルで2つの分科会を開催。

第1分科会は「地域からの発信とおもてなし」。臼井冬彦(北海道大学観光学高等研究センター特任教授)氏をコーディネーターに、スピーカーには岩崎邦彦(静岡県立大学経営情報学部教授)氏、大久保あかね(富士常葉大学総合経営学部教授)氏、渡辺英彦(富士宮やきそば学会会長)氏。地元の資源を生かしたおもてなしについて語り合いました。

第2分科会は「IT MICE - MICE新時代を探る」と題して、コーディネーターの久松伸一((株)E.Cプロ代表取締役)氏の進行で、玉井節朗((株)イーテックグループ代表取締役社長)、羽根由((株)生活ネット研究所、(株)PCO代表取締役)氏、そして森影依((株)インテリジェントリンク代表取締役)氏のスピーカーがMICEにおけるITの活用についてそれぞれの事例を交えて紹介。参加者と活発に意見が交わされました。当初はコーディネーターを細野昌和(北海商科大学商学部准教授)氏が務める予定でしたが、急きょ都合で参加できなくなり、久松氏がピンチヒッターに、さらにスピーカーに森影氏が加わり、富山と札幌でのIT利用の現状を紹介しました。

これらのいずれの分科会も熱のこもった意見交換の場となり、2日間にわたったフォーラムが終了しました。

エクスカーション 富士〜富士宮〜沼津

毎回恒例となっているエクスカーションには40名が参加。バスを利用して富士市から富士宮、沼津へと移動しました。昼食はB級グルメでB-1グランプリに輝いた「富士宮やきそば」。その後富士宮浅間大社、富士宮高砂酒造を視察して沼津御用邸に向かい、一般公開している沼津御用邸西附属邸を見学しました。

また、夕方からは東附属邸の和室で、MICE ミーティング「国内MICEを考える」を開催。国内MICEのマーケットや全国各地のMICE誘致への取り組みなど、車座になって語り合いました。

次回の同フォーラムは、東北地域での開催を検討することといたしました。

※今回のフォーラムにご参加いただいた方は、基調講演に使用されたパワーポイントのPDFファイルをダウンロードすることができます。ダウンロードに必要なパスワードは、参加者宛にメールでお知らせいたします。

基調講演に使用されたパワーポイント(PDFファイル:4.9MB)

※「国際観光コンベンションフォーラム2011 in富士」の内容を収録した報告書は、当研究会員および今回のフォーラム参加者には、後日CD-ROMで配布いたします。

特別講演と基調講演のダイジェスト
特別講演「やっぱり、すばらしき日本茶」

第1日目は、TVチャンピオン初代お茶通選手権優勝の前田冨佐男氏が(前田金三郎商店代表取締役・静岡市)「やっぱり、すばらしき日本茶」と題して特別講演を行いました。お茶の名産地である静岡。冒頭お茶についてのクイズが出され、身近であるけれどあまり知られていない日本茶の作り方、魅力、そして最近の粉末茶にいたるまで、時代に合わせた飲み方、使い方などについても語られました。また前田氏は「寛ぎ」をコンセプトに造った店「茶町KANZABURO」の紹介のほか、静岡の魅力を伝えるキーワードを「観光」から「感幸」へと表現しました。

会場では、日本茶インストラクター静岡支部による呈茶サービスも行われ、参加者は静岡のお茶を味わいながら、講演を聴き入っていました。

基調講演「観光・MICEビジネスの課題と展望」

セントラルフロリダ大学の原忠之氏の「観光・MICEビジネスの課題と展望」では、ミーティングプランナーが開催地に対して求めているニーズを知ること、MICEが重要な産業であることを地域住民に啓蒙することが重要と語り、「アメリカではそれができている」とした上で、海外MICEに関する研究論文を紹介。MICEにおける経済波及効果など学術的研究に価値がある点や、すでに韓国、台湾、香港、マレーシア、トルコなどアジアでも観光研究やホスピタリティの研究が進んでいる状況についても説明しました。

また、日本にある97ある空港を輸出工場と表現して、「空港使用料を安くして、LCC(格安航空会社)を地方空港に就航させ、観光客を受け入れて地元消費につなげていくといい」と、空港を活用した観光・MICEビジネスの可能性を示唆しました。

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